私は【自分らしく】生きていく事が人にとって一番の幸せだと思っていた。
一度きりの限りある命を、与えられた時間を悔いなく過ごす事が私達が神様から与えられた使命なのだと疑わずに。
私の人生のヒロインは私だ。
だからこそ他人の好奇な目を避けるために自分の意志や本音を曲げることは絶対に間違ってると信じてきた。

だけど……。

アカネは…?


守りたい物が沢山あるからこそ彼女は私を捨てる。
その事実に私が気がつくのはまだまだ先の事。
この時の私は生じたズレに戸惑う事しか出来なかった。



「お…、おばさんも…買い物か何かの帰りですか?」

私は少しだけ震えた声で問いかけた。

「えぇ、仕事が早く終わったから久しぶりに美味しいものでも作ろうかと思って。アキちゃんも夕飯食べていかない?」
「ぁ…。」

私は返答に困りアカネに助けを求めた。