私の好きな彼女、私を愛した彼氏

抱えていた不安なんて吹き飛んでしまった。

アカネだとか、ハルだとか……アキだとかミウだとか…。
そんな事どーでも良くなっていたのだ。
今目の前にいる彼を信じればいい。
今私を包んでくれている温もりを守ればいい。







「はいっ、今日の練習は終了!!アカネもアキも本当の恋人同士みたいに雰囲気出てたよ。」

だって…恋人だもん。

私は千葉ちゃんの賞賛の言葉に心の中で突っ込みを入れるとアカネへと向き直った。
すると、おそらく同じ事を思っていたであろうアカネは小さく微笑んでくれた。

季節は8月中旬、夏真っ只中。
夏休みも折り返し地点を迎えて私達のクラスは演劇の練習に力を入れていた。
高校生活最後の大イベントとなれば気合いの入り方も違う。
学祭が終われば受験一色になる…。
みんな思い出作りに躍起になっていたのだ。


「何か本格的になってきたよね。来週からは体育館も使えるようになるし、衣装だって準備しないと。ねぇ、アカネはどんな感じにしたい?」
「どんなって…。そーだなぁ…。」

時刻は5時過ぎ。
私達は劇の練習を終え帰路についていた。

【夏休みに学校へ行く】

言葉にするだけでうつ病になりそう…。
でも…アカネに、大好きな【彼】に会えるなら話は別っ。
思わずスキップを踏んでしまいそうなくらい嬉しいよ。