例えるなら二人はアダムとイブ。
【ハル】の心を動かす感情の全ては【ミウ】に向けられたもの。
それはアキだって例外ではないのだ。


ハルにアキは必要ない。
つまりアキで居る限り、私はハルに愛されない。


完全に心が病んでいた。
そんな自分の思考が人の道を踏み外していると気がつかないくらいに…。
だからこそ私の心は甘い誘惑に惑わされ禁断の花園に足を踏み入れてしまったのだ。



ハルが……アキって呼んでくれる。
他の誰でもない私の名前を呼んで、私を愛してくれる。


「じゃあ、ハ…ル。」

不思議な高揚感の中私は呟いていた。
ハルが消えたあの日から何度呼び続けて来たか…。
記憶の中の彼が笑顔で振り返る。
だけど今は…。

……目の前には、私が一番恋い焦がれた愛しい恋人【ハル】の笑顔があった。