「……アキぃ。一生恨むからね、私。」
「ごめんって…。まさか、こんな展開になるなんて誰が予想できるっての。」
「……大体、アキはまだマシだよ。私なんて男役なんだよ?
……女としての自信無くすって。」
「そんな大袈裟な。アカネは十分可愛らしい女の子ですよぉ。」
「………心込めろとは言わないけど、少しはお世辞らしく振舞いなさいよ。」


逃げられない事はお互い理解していた。


今の私達に出来る事はお互いに愚痴を言い合うだけ。
込み上げて来る負の感情を処理する為に悪態ぐらいついたって神様は許してくれるはずだ。

「……はぁ――。ま、もうこれ以上愚痴ってても仕方ないか。
で、…その脚本見せて?私、まだ全部読んでないのよ。」
「あぁ…私の鞄の中。勝手に漁って――。」


先に開き直ったのはアカネだった。
私が投げやりに指差した鞄から青いボーダーのノートを取り出す。
そして深いため息と同時に静かに目を通し始めたのだ。


その姿を目の当たりにして―――。



「………アカネと、ラブシーンするんだ………。」