「ってかさ、自分が興味あることを探求心のままに追求すればいいだけじゃん。ぁ、カツサンドもーらいっ。」
「興味あることね―。……アキの恋愛話とか。」
「はぁ?」

私は友人が口にした言葉に飲みかけの缶コーヒーを零してしまった。
クリーム色のコンクリートに茶色の染みが広がり深い溜息が漏れる。
「アキー、動揺しすぎ。何?人には言えないような恋を経験済みですか?」

からかい口調の友人に私は苦笑を浮かべた。

経験済み…というか、正確に言えば現在進行形です。






「アキー、学祭の出し物の件だけどさー3年は全クラス劇になるみたい。」
「へぇー。また実行委員も面倒臭いことやらかしたな。」
「まぁまぁ、高校生活最後の学祭だし派手にやりたいのよ。」

私はアカネの呆れ顔からその言葉の真意を汲み取り苦笑を浮かべた。
今年の実行委員長は祭り好きの目立ちたがり屋で有名だっけ。
「…奴のクラス、奴が主役&脚本まで書くらしいよ。」
「世も末だね…。」

高校3年の4月、私とアカネは相変わらず連んでいた。