男は今入ってきた小さな入り口から出ようとする。


れんげははっとして男を呼び止めた。


「っあのっ!」


男は足を止める。


何だか聞きづらくて、下をみて少し黙りこくるれんげ。


「わ、私は…。あのとき私の手を引いて、ここへ連れてきたのは…?」


その言葉に男は目を細める。


「…」


「ただの、事故なんでしょ…?」


男は口を閉じて一度下を向き、れんげをまっすぐ見た。


「確かに、君に見られたから、とっさに連れてきてしまった。」


「だったら、この国の説明より、戻してくれたほうが…」


れんげは不安げに男に訴えると、男は受け止めるように、まっすぐれんげの目を見たまま話した。


「戻り方は…ここではわからないんだ。


クラブ国に保管されている書物にある。


だからすぐ戻すことはできない」


男の言葉を聞いて、れんげは少し間をおいて、男が何を言いたいのか考える。


「俺達もクラブ国へ向かう。


必ず元の国へ返す。


一緒に来てくれ」