あたしは宇津井を無視し、部屋へ向かおうとした。
「お前ってさ」
「……何」
振り返り、宇津井を睨む。
「……淨弥と、付き合ってんの?」
宇津井が真面目な顔で、あたしに聞いてきた。
「え?」
つ、付き合うっ?
あたしと…、淨弥君…?
「……付き合ってんの?」
宇津井のまっすぐな瞳に、ドキッとした。
「そ、そんな訳ないじゃんっ」
あたしは慌てて否定する。
「……じゃぁ、お前、…淨弥のこと、好きなのか?」
宇津井はあたしの目の前で足を止め、あたしを見る。
す、好き……って……。
「…す、好きじゃないよっ!」
…本当は、
――好きなんだけど…
でも、恥ずかしいし…。
……なにより
…好きって感情を、
容易に言ってしまいたくなかった。



