「「「えぇ〜〜!?」」」

靖杜、唯抖、宇津井が声を合わせて叫ぶ。



「せ、淨弥っ!なんでだよ!今まで、女に興味示したことなかったじゃねーかよっ!」


宇津井はなんだかすごく動揺しているようだ。


淨弥君は軽くため息をついて、立ち上がった。
宇津井の肩に手を置いて、クスリと笑う。




「椎は、特別」


……ドキッ…


……特別…。



「……んじゃっ」

最後にあたしに向かってクスッと笑い、教室から姿を消した。



淨弥君が通った後でも、淨弥君特有の甘い香りが僅かに残っていた。




……椎は、特別


その言葉は、あたしの心臓の鼓動を乱す。


あの時は、単純に嬉しかった。


でも、あたしは知らなかった。

淨弥君の悲しい過去。


そして、
『特別』という言葉の意味を。