「あ、はい。よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げると、佐田先生はあたしに向かって優しく微笑んだ。
イケメンの笑顔に勝るものなし。
階段をあがって、教室の前に立つ。
「これが、君の教室だよ」
佐田先生はにっこり笑って、教室のドアを開けた。
急に心臓がうるさく動き出した。
あぁ、柄にもなく、あたし、緊張してる。
ガラガラガラガラ……
「うーぃ!」
「ヒュー!」
……!?
教室のドアを開けた途端、口笛やら叫びやらとで教室が一気ににぎやかになる。
「な、なんだこれ」
教室内を見渡して、思考が停止しそうになった。
「可愛いー!」
「マジだぁー!」
「いいねいいねー!」
……教室内、
全ての生徒が男子だった。
しかも
……不良ばっかり!?
何これ!!!
どういう設定っ!?
ち、ちょっと冗談きついって〜!
おなごはどこへ行ったのじゃ!?!?
「佐田先生っ、女子は!?」
先生の白衣の裾をくいっと掴み、小声で話しかけると、
「君がいるじゃないか」
そう言ってニコッと笑う佐田先生が一瞬、悪魔に見えた。



