「どうしたの、こんな時間に出歩いて」

淨弥君はそう言って、自分の隣をぽんぽんと軽く叩く。

隣に座ってもいい、っていうことだよね。



「うん、なんだか眠れなくて」

あたしはそう言いながら淨弥君の隣に腰かける。



「淨弥君は?どうしてここに居るの?」

そう問いかけると、淨弥君はこちらに振り向き、あたしの目をじっと見つめてきた。


ビー玉みたくキラキラと輝くその瞳は、乙女の心臓にはとても悪い。



「あれを、見に」

淨弥君はそう言って、夜空を指さす。

淨弥君の指先を辿って、空を見上げる。



「……月?」

「うん。……綺麗だよな」

そう言って、月を見て微笑む淨弥君は、



とても綺麗だった。



「……うん」

淨弥君は、月が好きなのだろうか。



確かに、キラキラと、神秘的な光りを放っている淨弥君は、月ととてもよく似ていた。



「……手を伸ばせば、届きそうなのに」

そう言ってる淨弥君の横顔は、どこか悲しげで、なぜかあたしの心臓が反応して、ズキリと痛む。