あたしが心配してるのに、淨弥は普通にすたすたと歩く。



「…椎は見えなかったのか?
あの子の母親が、遠くからずっと、こっち見ながら頭をペコペコ下げてるの」


…………え。



見えなかった……。



ていうか、正直に言っちゃえば…、

淨弥があの男の子に変なことを吹き込もうとしてるの見て、
ハラハラしちゃってて……。



……それで見えなかっただけだもん。



「…ぷっ」


あたしが下に俯きながら考えてると、
隣の淨弥がいきなりふきだした。