「……何が?」


ヒロが何を言いたいのか、分からない。



「椎榎のことだ。

本気なのか?」


……椎のこと、かぁ。



「…アユミの代わりとかだったら、ぶん殴る」


ヒロは、本気だ。

もし俺が、アユミの代わりだって言ったら、
多分、いや絶対に殴られる。



……ヒロは、本気で椎のこと、好きそうだから。



――でも、

「…本気だ」


…確かに最初に近づいたのは、アユミと似ているから。

アユミの代わりとして接していた。



だけど…

アユミとは性格が正反対のあいつを、いつからしか一人の女として見るようになった。


……不器用で鈍感で、
どうしようもない馬鹿で……