寮の前で、椎とヒロが抱き合っていた場面を思い出して、

なぜだかわからないが、心臓のあたりがチクリと痛んだ。


……最近の俺、変だ。




そして
……今も。

こっちへ向かってる人影が、……椎に見えるんだ。



…もう、来るはずがない。



俺は、…最低なことをしたから。




……でも、

幻覚じゃなかった。



「……淨弥」


目の前に立っている椎。



自然に俺の隣に座り、俺と同じようにねっころがった。



「月、あんまり見えないね」


なんで、こんな時に、こんなこと言うんだ?



「……あぁ」


「でも、あの星は相変わらず、ばっちり見えるね」


そう言って、椎の指差した方を見ると、

その先は、空に輝く、
北極星だった。