「………宇津井の気持ちは、すっごく嬉しい。…でも、…あたしは宇津井の女になれない」


あたしがそう言うと、宇津井は切なそうに笑った。



「……人の気持ちは、変わるもんだ。…俺は、……諦めないかんな」


宇津井はあたしの頭をポンっと撫でて、ゆっくり寮へ入って行った。




…ごめん、宇津井。




……淨弥、

…淨弥の過去に何があったのかなんて、あたしには分からない。


…淨弥の秘密は、一体なんなのか、あたしには分からない。



でも……、

…淨弥のことが好きだから、



……あたしは、

………諦めたくないよ。






――ねぇ、淨弥。

あたしを見る時の
淨弥の目には、


一体誰が映っていたの?