「かーずっ」
「んんっ…離れろよ」
「やだよ、寒いんだから」

たとえば、この星と同じような星が存在するなんて誰も考えやしないと思う。
存在しても、そんなに深くは考えない。
だって、こんなに環境の悪い星になんか、誰も居たくないと思うし。

「寒いなら、服、着やがれ」
「くっついてる方が温いし…」
「うるせーよ。服着ないならそのまま外に出てろ」
「だめだめっ!人を殺すなっ!着るから!」

環境が悪い、って言うのだろうか。
この星では、一年に二回、大嵐が起こる。その大嵐で、季節が変わる。
ものすごく寒い日々が続き、大嵐で、過ごしやすい日が来る。
そんな星、どうして、こんなに発展したのか、勉強していない私が知ったことじゃないけど。

服を着て、布団にくるまっている相手にもう一度声を掛ける。

「今日なにすんの?」
「勉強する」

布団から顔も出さず言うこいつは、まるで子犬だ。

「うーわー、放置ですかー、そうですかー」
「こんな時に外行って何するんだよ。死ぬ為に行くようなもんじゃねーか」
「ほんとに勉強かよ」

なのに、勉強できるのがなんだかむかつく。

「あと三週くらいは出なくても死なねーよ」
「あーはいはい、べんきょーがんばってくださーい」
「俺は気にしないから死にに行ってもいいぞ」
「ばかかず、お前は人殺しがしたいのか」
「あんな箱に入るつもりはねーけど?」

むくっと起き上がれば、使っていた布団を体に巻きつけたまま行動するのは、私的には許しがたいんだけど。

「かすみ、なに食う?」
「かずと同じでいいや」
「あ、そ」

しばらくして持ってきたものは、こないだ買った食べ物を温めただけだった。
それでも嬉しいのは、私が単純だからかな?