「んだったら、さっさと行くぞ。

夕飯時だし、店の方もそろそろ混雑し始める」

「うん、わかった」

あたしはベンチから立ちあがると、手の中にオレンジティーがあることに気づいた。

「虹」

「んっ?」

「これ…」

オレンジティーを差し出したあたしに、
「心配するな、俺もまだある」

虹はレモンティーを振って、中身があるところを見せた。

「どうするの、これ」

「歩きながら飲めばいいだろ」

まあ…そう、ですけど。

「飲まないんだったら、俺がもらうぞ?」

「えっ?」