「あ、何?」

そう聞いたあたしに、
「もう、瑞希も夏バテ?」

お母さんが苦笑した。

「アハハ…」

あたしも苦笑することしかできなかった。

「しっかりしなさい。

さ、お茶の用意ができたわよ」

「ありがと」

あたしはお盆を持つと、リビングに足を向かわせた。

「お待たせー」

「おう」

虹が迎えてくれたことに対し、あたしは笑顔で返した。

複雑に絡みあっている心の中を、虹に気づかれないようにした。