「あ、そうそう」

虹が思い出したように言った。

「何?」

「さっき、瑞希のお母さんから電話があったんだ」

お母さん――その単語を聞いた瞬間、あたしの心臓が跳ねた。

「…何て、言ってた?」

声が震えてしまったのは、バレていないだろうか?

「久しぶりに実家へ帰ってこないか、って」

「ああ、そう」

実家か…。

そう言えば、1度も帰ってないな。

そろそろ帰ってあげないと、お母さんも寂しいよね。

「ねえ、虹」