「はいはい、似合ってますよ」

「見てから言ってよー!」

「見たから言ってるんだけど」

「絶対見てなーい!」

「もう出発するから、シートベルト」

明らかと言っていいほど、話をごまかされたような気がする。

あたしがシートベルトをしたことを確認すると、車が発車する。

「瑞希」

運転しながら、虹が声をかけてきた。

「何?」

「…怒ってる?」

「訳ないでしょ」

そう返事したあたしに、虹はクスッと笑った。