ヒーロー先生

この日から国立先生主催の「レッツ青春☆恋の応援をしよう大作戦」が本格始動となった。このネーミングに数成先生は相変わらず反感的な視線を国立先生に送り千理先生は表情を微塵も変化させず告竜さんは困ったような苦笑いをしていた。
だが告竜さんは案外作戦内容を真面目に聞き感嘆し参考にしようとしていた。

国立先生の話によると、告竜さんは野球をしている旧野君に一目惚れしたらしい。交流が皆無なまま告竜さんは告白し僕が見た通り玉砕、旧野君はいきなり初対面の人とは付き合えないからまずは友達になろうと言ってくれたらしく告竜さんは諦めず国立先生の提案に乗った。

作戦1のお弁当作戦は早速明日決行するらしい。具材について国立先生と数成先生が口論する。千理先生をそれを離れた席で見つめる中僕は告竜さんに気になっていたことを聞いてみた。

「本当にこんなことして良かった?」

迷惑ではないかと内心僕は不安だった。気の強そうには見えない告竜さんが国立先生に押し切られたのではないかと僅かに不安の念を抱いていた。
告竜さんは瞳を口論している数成先生と国立先生に向け、一度視線を下に泳がせてから僕を見て答えた。

「嬉しかったです」

恥ずかしそうに、けれど嬉しそうに、僅かに頬を紅潮させ答える告竜さんを目の前にして迷惑では無かったことを察することが出来た。きっとこれは本心であろう。

「それは良かった」

僕が視線を国立先生に向けながら言うと告竜さんは淡く笑顔を見せながら「ありがとうございます」と答えた。

「お前等が良好な雰囲気になってどうする」

千理先生の冷静な突っ込みにより僕達は我に返った。