入社して5年後。


 施設で大人達の機嫌を伺いながら過ごしたおかげで習得した洞察力と、あの夏、林の中の湖で目覚めた戦闘能力をかわれて、俺は極秘に、潜入捜査官としての任務を命じられた。


 それに俺は、肉親は京子だけ。


 恋人もいなければ、友人と呼べる者すらいなかった。


 潜入捜査官は、国民の為に自分の命を捧げなければならない。


 国民を守るためなら、迷わず己の生を諦めなければならない。


 親しい者も京子以外におらず、生に対して執着のない俺は、潜入捜査官に適任と判断された。


 俺の精神が、こうも簡単に壊れるとは、誰も予想できなかったんだ。








 俺は任務を3つ、そつなくこなし、そして4つ目…


 少女を誘拐してはレイプし、その様子をビデオで撮影してネットで売りさばいていた組織に潜伏。


 物的証拠を揃え、一斉検挙がこの任務の最終目的だった。