玄関を開けて神崎を迎えると、追い払ったはずの両親がいつのまにか顔を出していた。
「どうも〜、母です〜」
「ち、父です!」
極上の笑みを浮かべたお母さんと、顔を強張らせながら笑みを浮かべようとするお父さん。
そんな変な2人に、神崎は平然と挨拶を返した。
「はじめまして、神崎 亮介と申します」
…それは爽やかとまではいかないけれど、無愛想な神崎にしては凄く凄く真面目な挨拶だった。
「あらあらあら。神崎くんって、あの学年トップの神崎くん?」
母が目を輝かせながらそう尋ねる。
私がそうだと頷くと、母は嬉しそうに「さすが我が娘。お母さんに似て人を見る目があるわぁ〜」なんてことを言い出す始末。
するとお父さんとお母さんは勝手に盛り上がり出して、神崎は唖然としている。
これ以上は恥ずかしいので、早く部屋に行くことにした。
しかし、2階に上がる階段の手前で、弟の陸が神崎に向かって声を掛けた…
「ねぇ、なんで姉ちゃんなの?」

