これ以上のメールのやり取りは、ただ混乱してしまうだけだろうと思い、私はメールをやめて電話を掛けた。


『もしもし神崎!?

XDってなに!?』


『…は?顔文字だろ』


『どこが!?』


平然と言ってのける奴に、私は堪らずツッコミを入れた。



『…お前、横に見たか?』

『え?横…?』



神崎曰く、あの暗号は横に見るらしい…。

確かに横からみれば、

:やXは目で、
( とDは口に見える…。



:(

XD


口を曲げてるのと、笑ってる顔。
頭のなかで考えて納得した。



『…わかりにくいよ』

そう文句を言うと、電話の先で神崎が不機嫌になったのがわかる。

今絶対 :( こんな顔してる。



『だったらこれからは電話掛けてこい』

神崎はそう素っ気なく言った。



『え?電話していいの…?』


『あぁ…。俺はそっちの方がいい』




その言葉に、

不覚にもキュンとした。


神崎からすれば、ただメールより電話の方が楽だからだろうけど、

まるで声が聞きたいみたいな言い方だったから、ドキッとしたのだ。





『じゃあ、これからは電話する。そっちの方が楽だもんね』


平然を装ってそう返事をした。

しかし、神崎から返ってきた言葉は、予想外なものだった…




『…別にそんな理由じゃないけどな。まぁ、楽だと言うのはわかるが…』


『…えっ、

今、なんて…』


そんな理由じゃないって、それってまさか…




『…なんでもない。

じゃあな。もう寝ろ』


その言葉の意味を神崎は口にせず、そのまま電話は切られた。





あぁ、もう眠れないじゃない!!


神崎のばか!!


fin