…そんなこんなで、神崎とデートすることになった。
面倒くさいと零していた神崎だけど、なんだかんだで約束の時間より少し早めに着ていて私を待ってくれていた。
「で?どこ行く?」
私がそう訊ねると、神崎が眉間に皺を寄せた。
「…考えてないのか?」
「えっ」
「お前が言い出したことだろうが」
神崎が呆れたように言う。
どうやら、お互いに相手が行き先を決めているもんだと思い込んでいたようだ。
せっかくのデートなのに、早くもグダグダな私たち。
「行きたいとこあるのか?」
「えーっと…」
神崎に訊ねられて、私は少し考えた。
映画は…無口な神崎がますます無口になるから却下
買い物は…神崎は人ごみ嫌いだから却下
遊園地も同上
あとは…
ダーツバー
…成瀬君の真似みたいで悔しいから却下
どうしよう…
いい場所が思いつかない…。

