〜大塚と神崎〜
「 …でもさ、神崎はなんでそんな似合わないことしたの?」
誤解が解けて仲直り出来たあと、私は神崎に尋ねた。
よくよく考えると、神崎がチョコ預かるなんて普通だったらありえない話だ。
神崎の性格なら、
「自分で渡せ、臆病者」とか女の子相手でも平気で言っちゃいそうなのに……
でも、高橋さんは良い子そうだし…助けたくなる気持ちもわかるような……
いやいや、それでもやっぱり腑に落ちない。
私がひとりであれこれ考えていると、神崎は静かに口を開いた…
「 …あの子、」
「 え?」
「 モカみたいだろ… 」
神崎の言葉に、私はぽかんとなった。
そして、
頭の中で神崎の愛犬のモカを思い出した…
ふわふわのくるくるとしたコーヒー色の毛。
ゆるいふわふわのパーマがかかった高橋さんの茶色の髪と、確かに似ている……
「 そんな理由で?」
「 ああ 」
あっけらかんと答える神崎
そんな理由のせいで、私はあれこれ苦しんだの…!?
神崎は悪くないにしても、
なんだかイラッとした…
「 ……それ、絶対本人たちの前で言っちゃ駄目だからね!!!」
そうして放課後の教室に、私の怒鳴り声が響くのだった…。
おわり

