俺が自分の部屋にこもって4日が経つ。

部屋に鍵をし、カ−テンを全て閉める。

真っ暗な世界。

この世界はまるで俺の心のよう。

たまに母が心配して、扉をノックする。

その音が唯一俺に生きている事を教えてくれた。

俺は食事も睡眠も一切とらず考え続ける。

何もかも失った自分が進むべき道を。

何度読み返しただろう。

俺は彼女の手紙を広げる。



富塚君へ

ごめん。

かってに居なくなったりして。

怒っているだろうね。

でも、この町は私には悲しすぎます。

みんなが私を哀れんで。

みんなが私に同情する。

その視線が私には耐えられないのです。

きっと富塚君は、「そんなの気にするな。」って言うのかな。

でも、私は遠くに行こうと思います。私を誰も知らない場所で一からやり直したいと思います。

私は徹が死んで毎日が辛い日々になるはずだった。

でも辛さだけじゃない。

側にはあなたがいた。

幸せだった。

本当に一生分感謝してもしきれません。

富塚君、君は本当に優しい人。

誰よりも人の事を想える人。

きっと、あなたでなかったら私は心を許せなかった。

どんな男性でも。

でも私が好きな人だからこそ世界一幸せになってほしいのです。

私とあなたは違いすぎます。

私は母であり、年上であり、水商売をしていた女です。あなたの未来を考えると私はあまりに相応しくな
い。

あなたが良いと言っても。

近い将来、お互いが後悔する事になる。

今がよくても、そんな未来は耐えられないから。

ごめん。

最後にあなたはたくさんの人に幸せを与えられる人。

その才能を潰してはいけません。その才能を生かしなさい。きっとその方法が見つかるはず。

これは、あなたをよく知る私だから言える事です。

だから、あなたの将来を楽しみにしてます。

今までありがとう。

幸せにね。

一方的でごめん。

上原 美里