「鈴ちゃん…っ!」
バタバタと蓮が騒がしく入って来る。私はハッと我に帰って振り返った。
「な…、何?どうしたの?」
「どうしたのじゃないよっ!鈴ちゃんのお母さんが鈴ちゃん家から出て来てたから…心配になって鈴ちゃん家のインターホン押しても出ないんだもん…、鈴ちゃんに何かあったのかと思ったよ〜」
安堵の溜息を漏らす蓮。
私も思わず笑みがこぼれる。
「!?え、何で笑ってるの!?!?」
「んーん。何か変なのーって思ってさあ」
「え、変!?」
「うん。何でアンタが焦ってんの?」
「いや…、だって…」
蓮は言葉を詰まらせ、頭をポリポリと掻く。
…自分でも何で自分が焦ってたのか分からないみたいだ。
私は蓮のオデコにデコピンする。
「てっ!」
「…嘘だよ。心配してくれてありがとね」
「…う、うん」
蓮は照れたように頬を染めながら、俯いた。