「星野さんどうしました？」
社長が出てきたドアから男の人が不思議そうに顔を出す。
「なんでもないわ。ごめんなさい、今戻るから。とにかく、あなた達は静かにね？じゃあ私、打ち合わせ中だから」
そう言い残してさっき出てきた部屋へと戻ってしまった。
ん？星野…？
そうだよ、青山と名字違うじゃん!
『ねぇ、なんで名字違うの!？あんた芸名？』
本当は星野 蒼士？
「あ゛？違ぇ～よ!あのババァが旧姓使ってんだよ!つーかあのババァと親子だって事ばらすなよ？」
『え？なんでよ？』
「なんでもだよ。お前口軽そうだからな」
『はぁ～!？なん……』
「絵玲奈!シッ!」
そう人差し指を口の前で立て、反対側の手で社長が居る部屋を指差す結衣奈。
「とにかくそういう事だから」
そう言ってさっさとこの場を去って行ってしまった。
とことん俺様で失礼な男、青山 蒼士。
社長の息子って事にはびっくりしたけど、だからって何言っても許されると思ったら大間違いなんだから!!
初表紙が決まって、せっかく気分良く帰ろうとしたのに…アイツのせいで、イライラしながら帰る羽目になった……。
