『う~ん…なんか外で揉めってるっぽい』
「揉めてる!?亜季ちゃんが誰と?」
『いや、亜季じゃなくて…。何かよく分かんないけど、とりあえず行って来る!』
慌てて椅子から立ち上がる。
「え、絵玲奈1人で大丈夫!?私も行こうか?」
「あら!ダメよ~まだメイク途中なんだから!」
「痛いっ…」
立ち上がろうとした結衣奈の肩を押す乙女さん。
若干、男の力使ってたよね…。
『えっと、あたし1人で大丈夫だから!』
「ちょっと、絵玲奈も、着替えまだでしょ!!」
『ごめん、乙女さんすぐ戻るから!』
「あ、ちょっと絵玲奈!!」
片手で謝って控え室を出ようとしたら結衣奈に呼び止められた。
『だから、1人で…』
「そうじゃなくて前髪!」
『へ?前髪…って、あ!』
指摘されて前髪を触って声をあげる。
ちょっと猫っ毛気味ですぐペタッとしちゃうからカーラー巻いてたの忘れてた…。
慌てて外して、「髪崩さないで頂戴よ!」という乙女さんの声を後ろに聞きながら控え室を飛び出した。

