そこには"渡瀬美人"と書かれた社員証があった。
「あんたビジンっていうんだ?
大胆な名前。」
「違う!ミト!字はそうだけどミト!決してビジンだから付けたんじゃなくて心とか中身が美しい人になりますようにって意味だからビジンとか意味が違うっていうか」
「ミトも変わってんな。
んで、何か他に用は?」
「えっ?」
「さっき店ん中熱心に見てたから。それ取りにきただけ?」
「あ…社員証ありがとうございました。
あとこの前の椅子、また見せてもらってもいいですか?」
「ご自由に。」
髭男のマイペースさに少し救われた気になりながら
再びあの椅子と向き合う。

