「…私は春人が好きなの。高校の頃からずっと好きだったのに!」
沙織さんが目に涙を溜めながら、真っ直ぐ春人くんを見て話す。
「わり、お前の事そんな風に思ったことないし、これからもないから。」
「…っ」
遂に彼女の瞳から涙が零れた。
「私の、私の何が駄目なの?
ずっと好きだったのに、何で…そんな普通の子なのよ…。」
「普通って…」
まぁ普通だけど。
沙織さんみたいに綺麗でもないし…けど改まって言われると複雑。
「沙織、いい加減にしろよ?
前にも話しただろ?お前は友達の一人、それだけだ。これから先もずっと。
婚約者のとこに帰れよ。」
「…どんなに好きでも?」
「あぁ。」
「そう。…帰るわ。」
涙に濡れた顔でふっと笑って彼女は店から出ていった。
その顔はとても綺麗で、見えなくなってもその場から目が離せなかった。

