彼は甘くてほろ苦い

そして夏希と病院に来た。
まだ高校生ということもあり、周りの目が気になって仕方なかった。
あっちの妊婦さん達があたしを見てひそひそ言っている。

なんで?あたし悪いことしてないよね?
あの妊婦さんたちと同じような妊婦かもしれないのに･･･

「高橋さーん。来てください」

病院の人に呼ばれ、あたしはいろいろ検査をしてもらった。
「おめでとうございます。妊娠26週目です」
「26週目･･･」
「えーっと･･･大変申し上げにくいのですが、26週目となるともう堕ろせません」
あたし堕ろすなんて一言も言ってないのに･･･。
やっぱり世間は高校生が子供を産むなんてこと反対なの･･･?

「あたし、産みます」

あたしははっきりと先生に言った。
「そうですか。では一緒に頑張りましょう」
先生はニコっとして言ってくれた。

帰ったら裕に言わなきゃ。

けど言わなきゃよかったんだ。
あたしも裕も赤ちゃんも傷つくことなんてなかった。