失われた時を求めて

「えっ?」

「同じ花…」

彼女は店の花とぼくの手の中にある花を交互に指差して言った

その表情は、なんとも読み取れないものだった

ぼくはなんだか悪いようなここにいたくない気分になった

彼女はぼくの“どうしよう”に気づいてくれたんだろうか?

「じゃ」

身を翻しさっさと行ってしまった彼女

僕はまた彼女の背中を見送った

彼女は

傘がぶつかって謝らなかった

傘についた雫が人にかかろうとおかまいなしだった

そして、それを謝らない

…周りをよく見ない子

それが彼女の印象



でも