【一話完結×短編集】ビター&スィート


ヒデくんが遠い県外の大学に受かったって事



「…おめでとう」



何とか笑いながら伝えたけど


本当は“行かないで”


そう言いたかった




でも…言えなかったんだ…




だって、もうあなたは


決めてしまっていたんだもの…




出発の前日


2人で会って


抱きしめあって


キスをして…




離れ離れになるなんて


思いたくなかった





そんな私にヒデくんは



「俺が大学を卒業する4年後

お互い相手がいなかったら

結婚しよっか?」



そう言ったよね…




まるで映画みたいな


小説みたいな

気障な台詞





突っ込む事も出来ず


私は涙を流して


「…約束だよ」


ようやくそう言えたんだ




嬉しくて…


でも…辛かった




ヒデくんはどうして


あの時あんな事を言ったの?






私は…



“待ってろ”



そう言って欲しかったよ…