「あいつは…従姉妹だよ」



「もう騙されないもん」



「本当だって…

あいつ今、宝石店で働いてんだよ…

だから…」




祥ちゃんがポケットから取り出したのは

小さな箱




「まだ社会人になって1年も経ってねぇし

まだまだ未熟だけど…

それでも、俺はこれからも真優莉と居たいし

ずっと真優莉だけだって誓える


だから…大学を卒業したら…結婚しよ?」





「…うぅ…」



声にならなくて

後から後から…涙が溢れる




「サイズ直しが予定より間に合わなくてさ…

本当はあのレストランの後
夜景を見ながら言うつもりだったのに…


真優莉、前に言ってただろ?」




「…覚えてたの?」



「あぁ…夜景が見える前で告白されたいって…

告白は真優莉の方が先だったけど
俺だって一目ぼれだったよ…


だから、プロポーズは真優莉の希望を叶えてやりたいって

そっちばっか気とられて…


挙句、今日は1日真優莉がいつもと違うし

仕事ばっかで忙しいから

大学で他の男でも出来たのかなって…」



「…う…そ…

だって…いつも祥ちゃん余裕そうで…


私ばっか…好きで…」




「んな訳ねぇだろ…


いつも気が気じゃねぇし…


真優莉は気づいてねぇけど

後輩で真優利を想ってる奴だって

結構いるんだぜ?


何年一緒にいても安心した日なんて一度もねぇよ」



普段、優しいくせに

言葉にする事なんて滅多になくて…



「好きよりも…もっと…

愛してる…


だから、結婚してください」




「……私でいいの?」




「真優莉じゃなきゃダメなんだ」



祥ちゃんの背中に自分の手を回した



「ずっと…ずっと…祥ちゃんと一緒にいさせてください」



祥ちゃんをそっと見上げると

優しいキスが降って来た



掴まれた左手の薬指には

瞬く程のキラキラした指輪