【一話完結×短編集】ビター&スィート


何かが弾けた気がした



今までにないぐらいキッと祥ちゃんを睨みつけた


「仕事だって言ってたくせに…


今日だってあの人と会ってたじゃない


キスだってしてたくせに…」




明らかに焦ってるのがわかる祥ちゃん




「おいっ…ちょっ…待て」





…待たないもん




「仕事だって信じてたのに…

疑いもしなかったのに…

なのに…いつからなの?


そりゃ…仕事の大変さとかわかってあげられないけど

私が子供っぽいから、大人なあの人が良くなったの?


私は…祥ちゃんがいるだけで…

それだけで…良かったのにぃ~」



最後は叫び声になりながら

壁に背をもたれ

両手で目を覆った







なのに…ふわっと優しく抱きしめられる




「…本当…真優莉はバカだな」



「どうせバカだもん…


バカだから浮気もバレないって思ってたんでしょ


そんな祥ちゃんのがバカだよ」



「あぁ…俺の方がバカだ…


…ごめん…ごめんな…」



やっぱり浮気してたんだ…



なのに…どうしてそんな優しい声を出すの?



「真優莉こっち…向いて?」



そう優しく言ったくせに

強引に両手を掴まれる


嫌だ…



咄嗟に下を向いた





浮気を認められたのに…

それでも、一緒にいたい



別れよう…


そう言えない私はやっぱりバカなんだ…



下唇を噛み締めると

祥ちゃんに無理やり上を向かされた




何で…?




何で…


祥ちゃんが切なそうな

傷ついた眼をしてるの?



「不安にさせて…ごめんな」



そう言うと優しい短いキスを落とした