【一話完結×短編集】ビター&スィート


こうするしか…ない



意を決してチェーンを外した



途端に流れ込むように勢いよく入ってくる影



そのまま、強く腕を掴まれると

荒々しく激しく…キスをされた




…なんで…



歪む視界からドアが閉まる風景と音が聞こえた




押し退けようにも、がっちり掴まれて身動きすら出来ない




「何なんだよ…

何で離れていこうとしてんだよ…」




それは祥ちゃんのくせに…




「許さねぇからな…


真優莉は俺のだ…」




嬉しいのに…悲しい




「うぅ…ヒック…」



言葉にならない悲痛が涙となって溢れる



途端に祥ちゃんの力が緩まる



でも…抵抗する力も
もう残ってなくて…



それでも、祥ちゃんは私を優しく抱きしめたままで…



「真優莉が嫌だって言っても

俺は真優利を離さねぇからな…


どうしても…俺から離れたいなら

相手の男を呼べよ…」




相手の男…?




「何…言ってんの…ヒック


私には祥ちゃんだけなのに…

祥ちゃんこそ…あの人、誰なのよ…」



グッと祥ちゃんの胸を押した



「はっ?


誰だよ…」



知らばっくれる気?



とぼけても無駄なんだから…