【一話完結×短編集】ビター&スィート

「祥ちゃん…ごめんね

今日は…帰って…」




玄関から少し距離を置いて

ようやく出した言葉



「…っ…どうして?


何があったんだよ…」




「ちょっと…調子悪いだけ…」




「ちょっ…ひとまず顔を見せろ」




そんなの出来ない…


出来ないよ…



だって…何て言えばいいの?




「真優莉…開けろッ」



今まで一度も聞いた事ない

祥ちゃんの低い声



身体から血の気が引いていくのがわかる



「もう…放っておいてよ…」



悲痛の叫びが溢れ出た



「嫌だっ!!!

開けろって」




もう嫌だ…




「真優莉が開けるまで

俺ここから動かないからなっ」




祥ちゃんは普段すごく優しいくせに

すごく頑固…


きっと動かないって言い出したら

本当に動かない



…だから