【一話完結×短編集】ビター&スィート


最後にドルチェが運ばれてきた



プレートにはバレンタイン仕様の

可愛いデコがされたフォンダンショコラ


私の大好きなケーキ



「料理は気に入らなかったみたいだけど

真優莉コレ好きだろ?」



そう苦笑いする祥ちゃんに

コレを食べたら

話がある…そう言われてるような気になった




聞きたくないのに…


一口食べるとトロ~ッとしてて

フォンダンショコラの暖かさを感じる




優しい暖かさにまた涙が出そう




だから…




「祥…ちゃん?」




「ん?」



いつも優しい祥ちゃんが

いつも以上に優しい声を出した



「せっかくのバレンタインなのに…

素敵なお店なのに…ごめん


何かちょっと調子悪いみたい


今日は帰るね


ごめんなさい」




そう一気に言うと

祥ちゃんを一切見ずに

お店を飛び出した




大丈夫か?…

そう祥ちゃんが聞いてくれたのが

かろうじて聞こえたけど

それすら無視をして、走った