【一話完結×短編集】ビター&スィート

どんな事があっても

祥ちゃんの手を離したくない




ずっと…ずっと…

隣でいたいよ…




祥ちゃんが連れてきてくれたのは

歩いて数分の裏路地にある

隠れたようなお店で…



でも、すっごくお洒落な

可愛らしいお店だった




普段の祥ちゃんは

居酒屋さんが多くて

付き合ってから

こんなお店に来た事なんてなかった




…最後だから?



メニューを見ながら

グッと下唇を噛み締めた




「真優莉こういう店って好きだろ?」




「…うん」



「パスタが美味いらしいんだけど

今日は俺のおススメでもいい?」




「…うん」




祥ちゃんこのお店来た事あるんだ…




あの人と来たの?




祥ちゃんが頼んでくれたのは

バレンタイン用の特別メニューだった



あの人とも食べたのかな?



さっきからそればかりで

思わずため息が漏れた




「真優莉どした?

好みじゃなかった??」




「ううん

すっごく美味しい」



そう言って笑うしかなくて…



全然、食欲だって出ない



さっきから突かれてる料理が可哀想