【一話完結×短編集】ビター&スィート

どうする事も出来ないまま

ただ月日は流れ…



あと少しで夏休み…




クラス中が長い休みに向かって

浮き足立ってるのを感じる




俺もその中の1人だ…



けど…夏休みになるという事は

会う事すら出来なくなるんだよな…



俺はずっと引き出しにしまわれたままの小さな箱を取り出した




箱を開いた瞬間

甘い匂いが鼻をくすぐる




並んだトリュフは暑さからか

少し溶けて形が変形してた




俺は1つとって口に入れた




広がる甘さ…




恋にだって苦さばかりじゃない



甘さがある…




どうして…目を向けなかったんだろう…



後悔しても遅い




だけど…長い休みの間だって

天宮に会いたい…




そう願う自分がいる






だけど…



どうすればいい?



…告るしかねぇよな…




でも…もし…


ダメだったら…


同じクラスなだけ気まずいよな…




天宮も…ナツカも…

こんな気持ちで告ってくれたんだろうな




なのに…

俺はそんな大事な事に見向きもしてなかった



ただ気持ちを伝える…




それだけなのに…こんなに難しい