【一話完結×短編集】ビター&スィート

「紡原ってナツカと付き合ってたのに

二股かけたり、女遊び激しい奴なんだよ

それでナツカ傷ついたんだよね、ねっ?」



「…うん」




何でおまえが返事すんだよっ




「ちょっ…おまえらいい」




アキトがキレるのがわかった



だから、思わずアキトを静止した瞬間

アキトの言葉にかぶさるように聞こえた言葉




「そうなんだ

でも、高橋さんって彼氏いるよね?」



みんなの視線がアイツに向かい

アイツは静かに頷いた




「幸せなんだよね?」



尚も続く天宮の凛とした声



「……うん」



「そういう問題じゃないでしょ」



ナツカの返事が、去年も同じクラスだった
ナツカのツレの山下の声にかき消される



「何で?

今が幸せならいいじゃない」




「どれだけナツカが傷ついたか」



「でも、それがあったから今は高橋さん幸せなんでしょ

きっと、今の彼と出会う為だったんだね」


にっこり笑う天宮とは逆に

山下はイライラしてるのがわかる


アイツはそんな山下にすがるように目を向けている



「前に彼氏さん高橋さんの事

学校に迎えに来てるの見た事あるんだ~


すっごい幸せそうで羨ましいと思ったもん」



そう優しく微笑む天宮の笑顔に

その場の空気が確かに変わった



「…ありがと」


嬉しそうに笑顔を返すアイツ



「天宮ちゃんって彼氏いないの~?」



「うん…残念ながら…ねっ


高橋さんの彼氏って年上だよね?!」



天宮のおかげで

すっかり話が変わり

女3人は俺達から離れていった