主従関係

〜直人Side〜



花蓮がウチの敷地内で倒れたと屋敷中がしきりに噂していた。



やっぱり花蓮が心配で花蓮の部屋に行くと中から話し声が聞こえた。



気になってそっと少しだけ襖を開けて覗いてみると和也さんがいた。



和也さんは慈しむような顔で花蓮の頭を撫でていた。


花蓮の顔は反対側で見えなかったが和也さんの行為に抵抗もせず、為すがままだった。



ズキンっ。



分かっていたことだが、目の当たりにすると胸の奥から激しい痛みと共に憎悪が沸き上がった。




そのままふり返り帰ろうしたら花蓮の部屋の襖が開いた。




和也さんは一瞬驚いた顔をしたがすぐ後ろ手に襖を閉めた。




「直人様。ご無沙汰しております。」



ニコリと笑みを浮かべた。



「どうも……。」



それ以上、何を話したらいいか分からなく沈黙が続いた。



おもむろに和也さんが口を開いた。



「花蓮に会いにきたんですか?」

「あ、いや……。」


歯切れの悪い返事をすると


「この度は私の婚約者が直人様の機嫌を損ねたようで申し訳ありません。花蓮には二度と櫻庭家には出入りしないようきつく言い付けます。」



深々と優雅な所作で頭を下げてきた。