ガラッ


バンッ


空き教室のドアを荒く閉める。


「し、芯?どうしたの?」


那湖もいつもと違う俺に、少し戸惑ってるようだった。

俺は乱暴に机に座ると、下を向いて呟いた。


「……何でアイツにチョコあげたの?」


「え?アイツ?」


那湖はまだドアの前に立っていて、俺をじっと見つめてる。


「俺にはなくて、何でアイツのチョコはあるんだよ…っ」


「え?芯?」


ダメだ…。

どんどん女々しくなる自分に嫌気がさす。


何で愚痴ってんだよ…。


「何でいつも俺ばっか…」


「芯?」


苦しくて苦しくて、胸が焼けそうだ。


「何でいつも俺ばっか、那湖が好きなんだよ…」