「お前に用はなくともこちらにはあるのだ」

 3人の中で一際(ひときわ)、存在感を放っている男はナナンを一瞥し白銀に向き直る。

「シルヴェスタ。父を助けたくはないか」

 良く通る声で問いかけた。

「! 何?」

 そのあとに少しくぐもった声の男は説明を加える。

「お前が天に戻る。というなら父なる神はお前の父であるセラフィムを解放しよう。とおっしゃられたのだ」

 それに激しく反論したのはナナンだ。

「お前たちはそうやって……っ! シルヴィは神に渡さぬ! 決して!」

「決めるのは貴様ではない。彼自身だ」

 笑って言い白銀に手を示す。

「親父を……?」
「悪い話ではないだろう?」

 白銀の感情を見透かすようにその不思議な色の瞳を細める。

「天に戻れば人の血も失せさらに美しくなるだろう」

 別の男が白銀を見てささやく。