「お師さま!」

 入ってきた男はいきなり老人に駆け寄る。

 やれやれと白銀は肩をすくめた。

「突然『旅に出る』と申して私を困らせないで下さい。どれだけ探したと思っているのですか」

「じゃから探すなと言ったじゃろう……」

「何を言うのです! 弟子の私を放り出して」

 そして男はギロリと白銀を睨み付けた。

「どうしてこの男にあなたの力が必要なのですか。私には解りません」

「! ……なに?」

 俺にだってわからん。初耳だ。

「あんたの力が必要? 誰がそんな事言ったんだ」

 白銀が目を細めて老人に問いかけた。

「……」

 老人の目が泳ぐ。

 この2人、師匠と弟子の関係らしいが俺が巻き込まれた経緯はまったく謎だ。

「そ、それはじゃな……え~と」

 なんとか誤魔化そうとしているようだが今更遅いのに。と白銀はナナンを見下ろす。

「お師さま……スナイプ星が」
「ああ、解っておるよ」