罪人の恋【短編】

だが

少年の視界に

破られた手紙の端切れが目に入った

少年はそれへ手を伸ばし

精一杯の力で握ると

這いつくばりながら扉に近づき

掠れた声で

「たのむ……これがっ……これが俺の最後なら……ゲホッ……あの子と……あの子と話をさせろっ!」

と叫んだ

だが

暗くて狭いその部屋には

その声は空しく響くだけだった