わたしの、センセ

「ごめん、なさい」

真央が、僕の腰に手を回すと胸に顔を埋めた

僕こそ、ごめんな

もっと、ちゃんと話をしていれば良かったんだ

お互いの寂しい気持ちを隠して、知らないふりをして…強がって、気持ちがすれ違っているのに気付けなかった

愛が冷めていくのに、目をそらしていた

「私、悠真が好きなの。一人にしないで」

僕は、唇を噛みしめると真央の肩をぎゅっと抱きしめた

ごめん…真央、ごめんな

僕は真央を苦しめたくないし、悲しませたくない

だけど、好きな気持ちは受け入れられないよ

もう…僕には、遅いんだよ…真央

僕は、真央の肩に手を置いて、ぐいっと押した

真央との距離が少し開くと、真央が鼻を啜りながら顔をあげた

「真央を一人にはしない。でも…ごめん」

僕は、首をゆっくりと左右に振った

真央の真っ赤な瞳が、僕の想いを引き留めようと必死にしているのが感じられた

眉尻が下にさがり、真央が僕の腕を痛いくらいに掴んだ

「いや…お願い。もう絶対に、悠真を裏切らない。私には悠真だけ…」

僕はまた首を振った

「ごめん……真央、ごめん」

僕はトントンと真央の肩を叩くと、真央がその場に崩れた

大きな声で、真央が泣きだした

僕は、真央に背を向けるとぎゅっと握りこぶしを握った

「嫌いになったわけじゃ…ないんだ。真央をもう…愛せないんだ。ごめん」

僕は掌に爪が食い込むほど、強く握りしめた

「私が裏切ったから?」

「違うよ、違う。僕たちは、もっと前に関係が崩れてたんだと思う」

「崩れてなんか…ないっ」