わたしの、センセ

僕は携帯をパタンと閉じると、携帯を閉じて天井を見上げた

テーブルに広がっている夕食の食器を片づけていた真央の手が止まるのが、目の端に映る

怪訝そうな表情で僕を見つめている

僕は、視線を真央に向けると「何?」と首を傾げた

「なんか…悠真、雰囲気が変わったなぁって」

真央が不安そうな顔をして、口を開いた

「僕の雰囲気?」

「うん。社会人になったからかな?」

真央が寂しそうな表情で、笑顔を作った

僕も笑顔を真央に見せると、肩を持ち上げた

「やっと一人前になったかな?」

僕の言葉に、真央が苦笑する

「もともと悠真はしっかりしてるじゃない。一人で生きていけるもの……一人が無理なのは、私のほう…」

真央の目に涙が浮かんだ

食器を乗せているお盆を、テーブルに置いてから、真央の態勢が崩れた

床に両手をつけると、唇をかみしめた

「どうして……悠真を裏切っちゃったんだろう」

真央の頬に涙が落ちていく

やめろよ、僕の前にそんなことを言われても、困る

何て言えばいいんだよ

僕は、もう真央とは…やり直すつもりはないんだから

僕は真央から視線を逸らすと、ベッドの布団をじっと見つめた

「私、一人が寂しかった。一人暮らしをして、楽しく自立生活を送ってる悠真に、馬鹿にされたくなくて…強がって、地元を離れたくないなんて言ってたけど、本当は悠真の傍に居たかったの」

真央が鼻を啜る

僕はぎゅっと拳を握った

今更、言うなよ

僕だって、楽しく自立生活を送ってたわけじゃないさ

送らざるを得ないから、一人暮らしをして、大学に通ってただけ……

僕だって寂しかったし、真央に甘えたかった

何度、真央が同じ空間に居てくれたら…って思ってたか

でも真央は、地元の大学に通ってたし、我儘を言うわけにはいかないだろ?

だから我慢した

それだけだよ