わたしの、センセ

-さくらside-

「センセ、パパにあんなこと、言っちゃっていいんですか?」

生徒指導室に戻ってきたわたしは、センセに背中に質問した

センセは足を止めると、わたしに振り返って、困ったような表情になった

「思わず強気発言しちゃった」

センセはにこっと笑って、椅子に座った

「困ったなあ」と口ずさみながら、腕を組んで何かを考えて込んでいる

わたしもセンセと向かい側に座ると、センセをじっと見つめた

「パパ、凄く怒ってると思いますよ」

「だよねえ。僕もそう思う」

センセは深く頷いて、瞼を閉じる

センセ…そんなに落ち着いてる場合ですか?

何か策を練るか…パパにすぐに頭をさげるかしないと…センセの教師生命にもかかわってくるよ?

「センセ、パパにあやま……」

「謝らないよ。頭も下げない。僕がどうにかする。3日以内にね」

センセがスーツのポケットから携帯を出した

「こういうのが大好きな友人がいた」

センセがにやっと笑うと、携帯に耳にあてた

「え?」

こういうのが大好き…って、何が好きなの?

センセはすごく楽しそうな顔をしている

センセ、大丈夫なんですか?

「あ…か弱き御友人の…って、あれ? 切られた」

センセが、携帯の液晶を寂しそうに見つめる

「僕、こういうの大好き。何度でも掛けたくなるね」

センセが満面の笑みで、また携帯を耳にあてた

『くだらねえ用件だったら、首絞めるぞ』

携帯から漏れてきた怖い言葉に、わたしの腕に鳥肌がたった

センセ…どこに電話してるの?